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教育畫報(大正9年)に見る
碓氷峠アプト式線路
教育畫報(第11巻 第3號 大正9年11月発行)には碓氷峠アプト式線路について
大要が掲載されています。その中から数点を拾ってみました。
尚、漢字等で当時の表記と一部違うものがありますが、ご容赦下さい。
此のアプト式鐵道線路の構造は中央に一定の距離に整列せる齒を刻んだラツクレールといふ齒状板(イ、イ、イ)を或一定の間隙を隔てて數枚(我國は三枚)竝べて各板の齒のピツチをづらして配列し之をボルート(ロ)にて緊め、而して鐵履(ハ、ハ)上に据ゑ、その鐵履を木材または鐵材製の枕木に、ボールト(ニ、ニ)にて緊めて、粘著軌條と軌條との中央に敷設するのである。此の齒状板(イ、イ、イ)は輾壓鐵ベツセニー鋼又は鑄鋼の様な堅い鐵で作り、最終の仕上げは輾壓工場で行はれ、齒のピッチを極めて完全に仕上げるのである。
此の齒状板は一枚の長さが約10呎程もあって、之を三枚竝べて締付けるのであるが、十呎行つてから各板の接目が同一個所に來ぬ様に之も其位置を少しづつづらして締付けるのである。斯く直續した齒状板の出來上りは丁度齒状軌道を枕木の中間に作り上げた事になり、右左の粘著軌條(普通線路)と合わせて三條の軌道が枕木上に出來上つた事になるのである。其處で齒状軌道の上に一個又は数個の齒車を備へた機關車を運轉し、其の車輛は粘著力軌條の上を齒車は齒状軌條の上を運轉し兩方より生じた力を以て優に一時間十五哩を出すことが初めて出來ることになったのである。
← 丸山アプト式エントランス
アプト式ラツクエントランスは
機關車の齒輪を齒状軌條への嵌
合を容易ならしめるもの
歸線とボンド →
運轉軌條は歸線として使用せる外線路兩側に於て地中に埋没しある撚銅線を補助歸線として使用し軌條の繼手よりボンドすること圖の如し(一部土砂を堀りてみたもの)
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